ゲノム情報に基づいて全タンパク質に対する抗体を作製することが可能な時代が到来しており抗体を用いたゲノムワイドなタンパク質の発現解析・機能解析、さらに診断・治療に向けた臨床技術の開発が次世代のプロテオーム解析として期待されている。
本シンポジウムでは、ヒトゲノムにコードされる全タンパク質に対して網羅的に抗体を作製しているスウェーデンのマチアス・ウーレン博士をご招待し、ゲノムワイドな抗体作製計画の進捗状況と期待される成果について講演をお願いする。マチアス・ウーレン博士の研究室ではすでに6000種類以上の抗体を計画的に作製し、作製した抗体をデータベース化して公開しており(Human Protein Atlas、www.proteinatlas.org)、プロテオーム研究の分野において世界的に今もっとも注目される研究者の一人である。一方、国内の主要な研究者からは、抗体を用いた新しい視点から測定技術や診断技術の開発を行っている研究の概要と可能性について講演をお願いする。
抗体を用いた次世代のプロテオーム研究のイメージを、本シンポジウムを通じて感じていただければ幸いである。
国立がんセンター研究所
近藤 格